エギング用に19ヴァンキッシュを購入して、春・秋シーズンのエギングに一通り使用してみたので、インプレしてみたいと思います。
購入理由
購入したのはダブルハンドルのノーマルギアモデル、C3000SDHです。使用目的はエギング。
元々ハイギアのリールしか持っていなかったので、エギングもそれらを流用してやっていました。しかしショートジャークの時に、ラインスラッグを巻き取りすぎて難しかったので、今回初めてノーマルギアのリールを選択してみました。
ダブルハンドルについても、ガッツリとは使用したことが無かったので、一度使い込んでみようと思い選択してみました。
良かったところ
このリールの良いと思うところは。
- 自重の軽さ
- 巻き出しの軽さ
- ドラグ性能
- 剛性
個人的にはこの4つです。
自重の軽さ
C3000SDHの自重は175gで軽量です。しかし今日日180g以下のリールは珍しくないですし、エギングでもよくチョイスされるC2500の番手を使うなら、150・160g台になってくるので、他のリールに比べてめっちゃ軽い!と言う訳でもないですね。
しかし、余りリールが軽すぎてもロッドとの組み合わせが難しくなります。
175gの自重だと、余程軽いロッドじゃないと重心は手元に来ません。自分が今現在使用している『20 エメラルダス AIR AGS 711M-S』は、自重86gのショートレングスロッドですが、これに組み合わせても重心はリールシートよりやや上にきます。
しかし重心が上にあることによって、ロッド全体を感じやすくなり、感度が上がるというメリットもあります。逆に手元に重心があるとシャクリやすいですね。
個人的にはシャクリやすさよりも感度が命なので、リールの存在感よりもブランクやティップの存在感が手元で分かる方が好みですね。
巻き出しの軽さ
ノーマルギアなので巻き出しが軽いのはある程度納得なんですが、それにしてもリーリングは素晴らしく軽いです。
シャクリ後にラインスラッグを巻き取って調整する時や、ショートジャークの時など、軽快なローターの恩恵を感じます。
ドラグ性能
流石にこのクラスのリールになってくると、ドラグの滑り出しがホントに滑らかですね。
ヴァンキッシュを買った後に19ストラディックとドラグを比べてみて、あまりの違いにストラディックを速攻で売りに出しました(笑。まあ価格が違うので比べるのもどうかと思いますが。
この高性能ドラグが、エギングでどう役立ってくるかと言うと、単純にイカジェットされたときの身切れに対して役立ってきます。
個人的にアタリをとって掛けるエギングが好きなので、ゲソ1本2本で上がってくることが多いです。なので、流れの中やディープでイカパンチを捉えた時など、身切れを極力避けるためにドラグの滑り出しはかなり重要視しています。
イカをフッキングした直後のファーストラン、そしてやり取り中に不意に訪れるイカジェット。19ヴァンキッシュのドラグは、これらに対して素直に、スムーズに出ていってくれます。
ダイワのATDドラグと比べてどうか?
19ヴァンキッシュ以前は19ストラディックを使用しており、更にその前は『ダイワ 18イグジスト FC LT2500S-CXH』を一年程使用していました。
まずATD(オートマチックドラグシステム)の特性ですが、フッキング時にはドラグが締り(ドラグ値が上がり)、そこからイカ(魚)の引きに対して徐々に設定したドラグ力になりドラグが出ていく。こういった物でした。例えるなら水に溶いた片栗粉ですかね。手の中で握ったら瞬間的に固くなりますが、そのままにしておくとトロトロと溶けていく感じ。
シマノの素直なドラグに対してかなり変則的ですが、この特性を理解して使用すれば、ディープでのシャクリからフッキング、ファーストランまでの一連の動作が、すごくやりやすくなると思います。
まず10mより深いディープで流れのあるポイントの場合、ドラグ値はかなり高めに設定しておかないと、シャクリの時にドラグが出てしまいシャクれません。しかし、いざイカを掛けた後は、シャクリ用に設定したドラグ力では強すぎて身切れが起こる、という問題が出てきます。
こういった問題に対して、ATDはかなり有効だと思います。
シャクる時はドラグ値が上がり、しっかりとエギをアクション出来て、イカを掛けたら徐々に設定したドラグ値までドラグが出ていく。理想的ですね。
しかしながらこのATD、“フッキング時にドラグ値が上がる”という特性が、“やり取り中に不意に訪れる瞬間的なイカジェットに対して、ドラグが締まってしまう”という問題も引き起こします。まあ簡単にいうと、ドラグ出ねー!!ってなる訳ですね。
さて、この問題に対してどうすればいいかというと……
ATDは最初から最後まで巻き続けるんですね。
Youtubeとかでダイワのリールを使っている人を見れば分かると思いますが、とにかくドラグがジージー鳴っててもハンドルを巻き続けます。なぜならば、止めてしまったら、次瞬間的に魚に引っ張られた時に出ないんですよね。なのでドラグを効かせながらも巻き続けます。
あるいはロッドの溜めを最大限に利用しつつ、ロッドをのされたくらいまで送ってやって、ドラグの出だしを補助してやる。といったやり方もあります。ちなみに友達はこのやり方で、3キロのアオリイカを1シーズンに2匹仕留めました。
あるいは、もう完璧にフッキング決まってるな!って思うなら、強気のやり取りでドラグ出さずにやっても良いわけですが。「今の皮一枚で掛かってそうなアタリだったな~」とか、「イカパンチ瞬間的に掛けたからこれ絶対ゲソイチだわ~」みたいな時、ATDはリーリングを止めてはダメです。
結局この辺りが個人的に合わなかったんですよね。基本的に掛けたらロッドで溜めて繊細に対応したいので、オートマチックよりマニュアル(素直なシマノドラグ)が好きっていう個人的な趣向による結論ですね。
まあエギングと一言に言っても、様々な場所やシチュエーションがあるわけです。それらに適したドラグ性能・特性があると思うので、一概にどちらが優れているとは言えません。
結論、結局は好み。
剛性
剛性についてですが、負荷を掛けて巻いた時に歪まず軽く巻き上げられ、しっかりと強いです。しかしながらリールが軽いので、「これだけ負荷かけて大丈夫かこれ?」という感じで不安になります。
実際に丈夫なのは確かなんですが、感覚的にはこの軽さのせいで頼りなく感じてしまいますね。まあこれは自分の感覚の問題ですが。
悪かったところ
悪かったところはただ1点。
ダブルハンドルを選択した事ですね。
まず、シングルハンドルとダブルハンドルの重量差は、たった5gです。なので今回は重量がどうのとかいう話ではなくて、単純にシングルかダブルか、どちらがいいのかという話です。
結論から書くと、19ヴァンキッシュでは、ダブルハンドルにメリットがほぼありませんでした。
元々購入するにあたり、エギングに詳しい店員さんに相談しつつ買ったんですが、その時から「ダブルハンドルのメリットは殆ど無いです。暗い所でハンドルに手が掛けやすいくらいですかね~?」みたいな話でした。
実際に使用してみて、手元を見なくてもハンドルに手が掛けやすい……のかなぁ?と思う場面はあったりしたのですが、ぶっちゃけ誤差です。シングルハンドルでもその点はあまり変わらないと思います。
個人的に一番ダブルハンドルがダメだなと思ったのは、エギを近距離までシャクってきた時に、ベールを起こしてラインスラッグを作ってやるという動作をシャクリ毎に行う場面で、ハンドルがめっちゃ邪魔!という点でした。慣れればある程度は気にならなくなるんですが、やっぱりベールを頻繁に起こす状況ではシングルハンドルの方がハンドルが邪魔しなくて楽なのは確かです。
しかし、ダブルハンドルのメリットとして「ローターの慣性によって糸ふけを巻き取る」、といった動作がよく挙げられていると思います。
しかしこれ、19ヴァンキッシュではローターがピタッと止まります。止めたい時にピタッと止まるレーシングスペック!公式のインプレでもウリ文句にされてましたよね。
なので、ハンドルを慣性で回して糸ふけを楽々回収ができません。
家でリールだけ持ってハンドルを勢いよく回すと、慣性でクルクルと回るんですが、実際に風がある状況とかで糸ふけを取ろうとすると、糸ふけの負荷が強すぎて軽いローターが負けてしまい、回転がすぐに止まってしまいます。
まあ他に無理やりメリットを上げるなら、リーリング時にハンドルバランスが保たれているので、安定したリーリングが出来るといった点、ですかね~。流れに対してアップクロスにキャストしての、巻きのエギングにはいいかもしれません。
うん……やっぱメリットがほぼ無いですね。
結論。好みの問題がなければシングルハンドルを選択した方が無難だと思います。
まとめ
シマノのリールで軽快さ、軽さ重視で買うならヴァンキッシュ一択だと思います。
自分のようにショートジャークがメインの人なんかは特に、ヴァンキッシュの軽さ、軽快さは癖になると思います。
それにやっぱり軽いと楽なんですよね~。一日シャクってても、タックル全体が軽いと体への負担は少ないです。重いタックルでもバランスが取れていれば軽く感じますが、軽いタックルでバランスが取れてればそれに越したことはないと思うんですよ。自分は背中の筋をやっちゃってるので、同じように筋やっちゃってる系の人なんかは、タックルバランスでの軽さ+物理的な軽さをオススメします。
逆にシャクリやすさに重点を置いて、手元に重さを持ってきたいのなら、ステラやツインパワーがいいと思いますね。長いロッドと合わせても、手元重心になるのでシャクリやすいと思います。
また、1クラス下のリールですが、ヴァンフォードもいいですよね。ドラグ性能以外ではヴァンキッシュと遜色はないので、しっかりと抱かせて掛けるようなエギングをするなら、全然問題ないかと思います。実際にヴァンフォードのXGを借りてみたんですが、ヴァンキッシュと同じローターを使っているだけあって、巻き出しの軽さは素晴らしく軽かったです。